種目・用語解説 2026-09-21

大学ボート部の用語集|漕艇の基本用語と種目コードを一覧解説

大学ボート部(漕艇部)に新しく入部した方や、これから観戦しようとしている方の多くが最初につまずくのが、独特な専門用語の多さです。大学ボートの用語は英語由来の言葉と日本語の訳語が混在しており、さらにインターネットで「ボート」と検索すると競艇(ボートレース)に関する情報が多く表示されるため、部活動としての漕艇用語だけを調べるのが意外と難しいという事情もあります。本記事では、こうした用語を「漕ぎの動作」「艇と道具」「乗艇ポジションと乗り方」「種目コード」「レース進行」の5分類に編集部が整理し、一覧で解説します。

大学ボート部の用語がわかりにくい理由

大学ボート(漕艇)の用語がわかりにくいと感じられる理由は、英語由来の専門用語と日本語の訳語が併用されていることに加え、検索してもボートレース(競艇)の情報と混ざりやすいためです。

入部直後は、「キャッチ」「フィニッシュ」「レート」といった動作用語と、「m1x」「w8+」のような種目コード、さらに「決勝A」「敗者復活戦」といったレース進行の表記が短期間にまとめて登場します。用語の性質がそれぞれ異なるため、どこから覚えればよいのかつかみにくくなりやすい構造だといえます。初めて観戦する場合も、大会のプログラムやアナウンスに出てくる略号やカタカナ語が何を指しているのかは、事前に知らなければ判断しづらい部分です。

この記事では、編集部が実際の用語集・入門ページ・大会結果ページの表記をもとに、用語を次の5分類に整理しました。

なお、「ボート」という単語だけで検索すると、公営競技であるボートレース(競艇)に関する情報が上位に表示されやすい点にも注意が必要です。本記事で扱うのは大学の部活動としての漕艇(ローイング)であり、賭け事としてのボートレースとは別の競技です。

漕ぎの動作に関する用語

漕ぎの一連の動きには、それぞれ決まった呼び方があります。基本となる用語は次のとおりです。

用語意味
キャッチオールのブレードを水に入れ、水をつかむこと
ドライブキャッチから水を押し終わるまでの、艇を進める局面
フィニッシュストロークの最後。水を押し終わり、ブレードが水上に出た直後のこと
フォワードフィニッシュから次のキャッチまでの、ハンドルを前に戻す局面
フェザーブレードを水平にすること。フォワード中の空気抵抗や波の影響を抑えるために行う
スクエアフェザーの逆で、ブレードを水面に対して垂直に立てること。キャッチに備える動作
レート(ピッチ)1分間に漕ぐストロークの回数。レース中はおおむね35〜38程度、スパートでは40〜45程度とされる
スパートレース終盤などにレートを上げて加速すること
イージーブレードを水面に落として漕ぐのをやめ、休息に移ること

1回のストロークは、キャッチで水をつかみ、ドライブで艇を進め、フィニッシュで水を押し終え、フォワードでハンドルを前に戻す、という一連の流れで構成されています。この流れが連続して繰り返されることで艇は前進します。フォワード中はフェザーでブレードの抵抗を減らし、次のキャッチの直前にスクエアへ戻す、という動作もあわせて覚えておくと、練習中の指示や解説の意味がつかみやすくなります。

艇と道具に関する用語

艇本体やオールにも、それぞれ専用の呼び方があります。

用語意味
ブレードオールの水をつかむ平たい部分
クラッチオールの支点となる台座
リガー艇の側面から張り出し、クラッチを支える骨組み
ストレッチャー漕手が足をかける踏み板。シューズが固定されている
シートレール上を前後に動く座席。脚の伸展に合わせてスライドする
リギング艇やオール、シート、ストレッチャーなどの配置・角度を漕手に合わせて調整すること
シェル艇レース用の細長い競技艇
ナックル艇船体の断面が拳のような形をした、安定性を重視した艇。初心者向けに開発された
エルゴメーター(エルゴ)陸上で漕ぐ動作を再現するトレーニング機器。タイム計測にも使われる

このうちリギングは、艇やオールの各部を漕手の体格・技術に合わせて調整する作業を指し、同じ艇でも乗る人によって設定が変わります。またナックル艇は、レース用のシェル艇に比べて安定性を重視した形状で、初心者向けに開発された艇です(出典: 東郷町「用語集 - ボート」)。陸上で漕ぐ動作を再現するエルゴメーターとあわせて、どの道具がどの場面で使われるものなのかを整理しておくと、入部初期の練習メニューの意図をつかみやすくなります。

乗艇ポジションと乗り方に関する用語

艇に乗る役割や、オールの持ち方による分類にも専用の呼び方があります。

用語意味
コックス(舵手)舵の操作と漕手への指示を行い、艇の動きを管制する役割
ストローク(整調)艇の最後尾(コックス側)に座り、クルー全体の漕ぐリズムをつくる漕手
バウ艇の先端、またはそこに近い位置に座る漕手
バウナンバーレースで各艇に割り当てられる番号(レーン番号)
クルー1艇に乗るメンバーのまとまり
レガッタボートの競技会・大会のこと
スカル1人が左右に1本ずつ、計2本のオールを持つ様式。またその艇
スイープ1人が1本のオールを持つ様式。またその艇
舵手つき・舵手なしコックスが乗るかどうかの区別

「ストローク」という言葉は、艇の最後尾に座ってリズムをつくる漕手のポジション名として使われる場合と、漕ぐ動作そのものを指す場合の両方があるため、文脈によって意味が変わる点に注意が必要です。また「バウ」(先頭付近の漕手を指すポジション名)と「バウナンバー」(レースで艇に割り当てられる番号)は似た言葉ですが、指す対象が異なります。

コックスとストローク、スカルとスイープはいずれも奥が深いテーマのため、詳しい役割や違いは別記事で詳しく解説しています。あわせてスカルとスイープの違い、コックスとはをご覧ください。

種目コードの読み方|m1x・w8+ は何を表すか

大学ボートの大会結果では、種目名が「m1x」「w8+」のようなアルファベットと記号の組み合わせで表記されます。この種目コードは、次のルールで構成されています。

このルールに沿って15種の種目コードを一覧にすると、次のとおりです。

コード種目名漕手オールコックス
m1x男子シングルスカル1人スカルなし
m2x男子ダブルスカル2人スカルなし
m4x男子舵手なしクォドルプル4人スカルなし
m2-男子舵手なしペア2人スイープなし
m2+男子舵手つきペア2人スイープあり
m4-男子舵手なしフォア4人スイープなし
m4+男子舵手つきフォア4人スイープあり
m8+男子エイト8人スイープあり
w1x女子シングルスカル1人スカルなし
w2x女子ダブルスカル2人スカルなし
w4x女子舵手なしクォドルプル4人スカルなし
w4x+女子舵手つきクォドルプル4人スカルあり
w2-女子舵手なしペア2人スイープなし
w4+女子舵手つきフォア4人スイープあり
w8+女子エイト8人スイープあり

この15種は、ローイングマニアが収録している全日本大学ローイング選手権(インカレ)2000年度〜2025年度の結果データに、通算で登場した種目コードのすべてです。ただし、すべての年度でこの15種が実施されているわけではなく、年度によって実施種目は増減します。同じ集計では、男子舵手つきペア(m2+)は2000年度から2018年度までの結果に登場する一方、女子エイト(w8+)は2023年度から2025年度の3年度分にとどまります。古い年度の結果と最近の結果を並べて見るときは、種目そのものの実施有無が変わっている場合がある点を意識しておくと、読み違いを防げます。

種目コードの表記は、JARA公式のレース結果ページでもローイングマニアの結果ページでも共通して使われているため、一度読み方を覚えておくと大会結果を見るときにスムーズです。各種目の歴代優勝校は、種目一覧ページからまとめて確認できるほか、男子エイト(m8+)の歴代優勝校ページ、男子シングルスカル(m1x)の歴代優勝校ページ、女子舵手つきクォドルプル(w4x+)の歴代優勝校ページ、女子エイト(w8+)の歴代優勝校ページでそれぞれ確認できます。

レース進行の用語|予選・敗者復活戦・決勝Aの意味

大学ボートの大会は、複数のラウンドを経て順位が決まります。JARAの結果ページでは、それぞれのラウンドが次のように日本語と英語で表記されています。

日本語表記JARA結果ページの英語表記内容
予選Heat最初に行われる組分けレース。上位が次のラウンドへ進む
敗者復活戦Repechage予選で勝ち上がれなかったクルーにもう一度与えられる機会
準々決勝Quarter finals出場クルーが多い種目で準決勝の前に設定されるラウンド
準決勝SemiFinal決勝の組分けを決めるラウンド
決勝AFinal A最上位の決勝。優勝クルーはこのレースで決まる
決勝BFinal B決勝Aに進めなかったクルーによる、下位の順位を決める決勝
決勝C・D・EFinal C / D / E出場クルーがさらに多い場合に設定される下位決勝

この中で特に間違えやすいのが「決勝A」です。決勝は複数組に分かれますが、優勝を決めるのは決勝Aのみであり、決勝B以下は下位クルー同士の順位を決めるレースです。決勝という言葉だけを見て「決勝に出た=優勝を争っている」と早合点しないよう、注意が必要です。

ローイングマニアが2000年度〜2025年度(2021年度を除く25年度分)のインカレ結果を集計したところ、ラウンド別のレース数は次のとおりです。

ラウンドレース数(2000〜2025年度・2021年度を除く)
予選(Heat)1,561
敗者復活戦(Repechage)1,385
準決勝(SemiFinal)780
準々決勝(Quarter finals)50
決勝A(Final A)305
決勝B(Final B)303
決勝C(Final C)24
決勝D(Final D)4
決勝E(Final E)4

決勝Aと決勝Bはほぼすべての年度・種目で設定されている一方、決勝Cが設定された実績があるのは2022〜2025年度、決勝D・決勝Eが設定されたのは2023年度のみです。出場クルー数が多い年度・種目ほど下位の決勝ラウンドが増える傾向がうかがえます。また同じ集計では、決勝Aに並ぶ艇の数は4艇の年度・種目が最も多く、6艇で争われたケースがそれに次いでいます。「決勝」という言葉から連想されるよりも少ない艇数で優勝が決まる場合がある、という点も押さえておくとよいでしょう。年度ごとの詳しい結果は、年度別結果ページや2025年度の結果で確認できます。

用語を覚えたあとに見ると面白いデータ

用語の意味を一通り押さえたら、実際の大会データにも目を通してみると、用語がより具体的なイメージとして頭に入ってきます。

ローイングマニアでは、全日本大学ローイング選手権(インカレ)の2000年度〜2025年度の結果を収録しています。ただし2021年度はJARA側に種目別のレース結果ページが存在しないため、収録は25年度分となっています。この25年度分で集計したレース数は4,416レース、クルー表記に登場した大学数は174大学にのぼります。これだけの大学・レースが、本記事で紹介した種目コードとラウンド表記で記録されているということになります。

どの大学がどの種目で強みを持っているかは、大学別ページから年度別に確認できます。観戦の流れをより詳しく知りたい方はインカレボート観戦ガイドを、通算成績を知りたい方はインカレボート通算優勝回数ランキングをあわせてご覧ください。

まとめ

大学ボート部の用語は、漕ぎの動作(キャッチ・ドライブ・フィニッシュ・フォワードなど)、艇と道具(ブレード・リガー・シェル艇など)、乗艇ポジションと乗り方(コックス・ストローク・スカル・スイープなど)、種目コード(m1x・w8+など)、レース進行(予選・敗者復活戦・決勝Aなど)の5分類で整理すると理解しやすくなります。特に種目コードとレース進行の表記は、大会結果を読むうえで欠かせない基礎知識です。より詳しいルールを知りたい方はボート競技のルール解説を、種目コードの一覧をもう一度確認したい方は本記事の該当表や種目一覧ページをあわせてご活用ください。

出典

種目コード・ラウンド別レース数などの集計値は、ローイングマニアがJARA公式レース結果を集計したもの(2026-09-21時点)です。選手個人の氏名は掲載していません。

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